ベンゾジアゼピン内服の相談
ベンゾジアゼピン系薬の問題点
ベンゾジアゼピン系の薬(以下、ベンゾジアゼピン)は、不安や不眠などの症状を一時的に和らげる薬です。内科、精神科など幅広い科で処方されることが多いです。しかしベンゾジアゼピンのお薬では、眠気やふらつきに加え、注意力・記憶力・思考力の低下などが問題になることがあります。人によっては、感情や行動を抑えにくくなる脱抑制などの精神・行動面の変化がみられる場合もあります。
また常用量依存といい、医師から処方されたとおりに服用していても、依存が形成され、減量した際に離脱症状が現れることがあります。薬を減らそうとすると不安や不眠、焦燥感が強くなり、なかなか減らせない。ようやく減らしても、症状が悪化して元の量に戻さざるを得ない。やめたいのにやめられない、その思いで苦しんでおられる方は少なくありません。
ベンゾジアゼピン系薬を減らす、やめるためには
ベンゾジアゼピンを飲むようになった原因の改善が得られていないと、減らそうとしてもベンゾジアゼピンで和らいでいる症状が再燃し、ベンゾジアゼピンを元の量に戻さざるを得ません。そのため、そもそもベンゾジアゼピンを処方されるきっかけとなった原因の改善が重要だと考えています。
ベンゾジアゼピン系のお薬を服用する背景には、さまざまな病気や症状があります。
例えば、うつ病、適応障害、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、不眠症、パニック障害などです。ベンゾジアゼピンのお薬はこれら疾患で起こる不安、不眠といった症状を一時的に改善する効果はもっていますが、根本的に治す作用はないと言われています。
しかし一時的には症状が楽になりますので、内服を継続し、気づいたらやめられなくなっているという方は少なくありません。ベンゾジアゼピンのみの内服を続けることは、例えるなら、骨折した際にギブスで固定する必要があるのに、骨を折れたまま放置しながら、痛み止めの薬だけを飲んで、解決を願うようなものです。元の骨がくっつかなければ痛みがなくなるのは難しいかと思います。
そのため折れた骨をくっつける処置として、整形外科の先生方が、どのような骨折でどのような処置が必要なのか判断するためにレントゲンを撮るように、精神科医は患者さんからお話を伺い、診断と治療を考える必要があります。
当院での診断と治療
精神科医は、患者さんのお話を元に診断と治療を考えます。そこでは、レントゲンのように誰が見ても同じ骨折という結果が見えるのではなく、精神科医の聞き方、受け取り方により、同じ症状であっても、異なる状態と解釈されえます。
そのため当院ではそもそもその方が受けておられた診断と治療は、改めて考えなおす余地がないのか再検討することを重視しています。ベンゾジアゼピンを必要とするに至った原因に対処することで、ベンゾジアゼピンを必要としなくなるように、下記の点を大切にしています。
当院が重視している点
- 診断の見直し:不安や不眠の背景に、うつ病、適応障害、双極性障害、パニック障害などが関係していないか。
- 治療方針の見直し:これまでの治療で十分な改善が得られているか。薬物療法を含め、ほかに検討できる治療がないか。
- 無理のない減薬計画:背景にある病気や症状への対応と並行して、必要に応じて減量の方法や速度を検討する。
診断や治療を見直したからといって、必ず薬を減らせるわけではありません。しかし上手くいっていない今のやり方から何かを変えないと、何も変わらないのではないでしょうか。そして変えるためのきっかけとして診断と治療の見直しは有効であると考えています。
ベンゾジアゼピンを長年服用していることに不安を感じている方や、減薬したいと思っていても方法がわからない方、減量するたびに症状が悪化してしまう方には、現在の状態を見つめ直す機会として当院にご相談頂ければと思います。
担当医師のご紹介
榎本啓希(精神科医 / 精神保健指定医)
大学病院や精神医療センター等の病院で勤務した後、都心部のクリニックにて学生・働く世代の方を中心としたメンタル不調の診療を経験しました。
診療を続ける中で、「休むべきか分からない」「薬は飲んでいるのに良くならない」「同じ治療が続いていて不安」と悩まれている方が少なくないことを実感してきました。
当院では初診から院長が一貫して担当し、来院される方とご一緒に、お薬だけでなく生活リズムや環境調整も含めた治療方針を決定します。他院からの転院相談や、現在の治療に対するセカンドオピニオンも対応いたしますので、お一人で抱え込まずお気軽にご相談ください。